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Author:水無瀬早生
まったりガンダム00を見守るツッコミ感想+健全二次創作ブログです。ティエリア、アレルヤ、ソーマ、グラハムあたりを贔屓。

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2009/06/08 (Mon) 09:03
リボンズ、ラスボス設定なら。43

リボンズが第二期ラスボスなら? ←最早疑問形ではない。ついに終わりましたがホラ、2010年の映画に続く気満々だったから……!最終話付近で勝手に超展開。 だらだら細々つづいてます。間が空きすぎです。
 
 この話の前提あらすじは0をご覧ください。
 
 
 
 行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
 しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
 
 
 
ほぼオールキャラ。
 
 
 
 前を向く、故、見えなくなるその眸。ああけれど横顔は、そう雄弁に、語るのだ。僕達には未来があるのだと。
 
 
 
 うつくしさは何を持って定義されるのか。完璧であることとうつくしいことは等しいのか。欠けたる月を愛でる方が好きだと言うのなら、選べないまま満ちた月はその完璧さこそが足りなさであると言うのに敬遠されるのだ。ひとはそれを逆説(パラドクス)と呼ぶ。
 
 
 
 何かと目立つ人間であるところの「ユニオンのエースパイロット」の姿を見掛けたのは無論唯の偶然だった。自分が地味な部類に属していることを十二分に心得ている沙慈には見た目だけでなく伝え聞く中身のエキセントリックさも含めて少々眩しい相手だったから、見間違える筈もない。其れに彼は沙慈の「夢」を叶える人間なのだ。どうして忘れられようか。
 
(僕の……夢)
 
 ガンダムを倒すこと。姉とルイスの敵討ちをすること。――宇宙で、働く、こと……。
 
 去来した複雑怪奇な感情に翻弄されて沙慈は唇を噛み締めうつ向いたままその場に立ち尽くした。
 
 いつから此処はこんなに暗くなったのだろう。姉が遺した欠片はJNNの人々を繋ぎ、たぶん世界の何処かにも自分と同じ思いをしている人間がいる。
 
(……どうして)
 
 だのに。
 
 胸の中が熱くなる。込みあげてくるものを必死で押さえ付けたら頭の芯まで熱くなった。呼吸が、しづらい。
 
「大丈夫か?」
 
 と、不意に声をかけられて沙慈は慌てて顔を上げた。陶器めいた薔薇色の肌を持つ筈の人物はだがうっすらと血の気の引いた顔をしたままで自身を棚にあげ沙慈を微かに心配そうに見ていた。それでも力を失わない怜悧な瞳で。ユニオンのエースパイロットと詠われるグラハム・エーカーそのひとだった。
 
「は、はい、すみません……」
 
 小さくなって沙慈がそう謝るとグラハムは瞬きを何度かした後口許に手を寄せて、サジ、と尻上がりに呟いた。沙慈は頷いてから、
 
「沙慈・クロスロードです」
 
と改めて頭を下げた。その刹那、急に何かに思い至ったようにグラハムが動揺でか僅かに唇を震わせながら、沙慈を真正面から見据えてきた。そして深い吐息。
 
「……これも又天の配剤と言うことなのか」
 
 謎めいた呟きは沙慈に向けられたものではなく唯の独り言だったが、一旦伏せられた睫毛が再び取り払われ沙慈を見つめたところで彼はもう一度口を開いた。
 
「君のお父上はジャーナリストか?」
 
「どうしてそれを……」
 
 今度は沙慈が驚く番だった。父の話など此処ではしたことがない。姉がジャーナリストだったと言うのはしつこいくらいに喧伝されてはいたが。
 
 ふと見ればグラハムはやはりな、と呟いて吐息を漏らしている。……聞き覚えのある名前だと思った。それは更に微かに、かすれた絵の具のように吐き出された。
 
「君はジャーナリストにはならないのか」
 
 清冽な軍人は軍人らしい、迷いを持たない問いを真っ直ぐにぶつけてきた。そうだ、迷いや小さな綻びは恐ろしいほど命取りになる。だからMSが足を引っ張らないように、自分達はきちんと調整しなければならない。カタギリもそう言っていたではないか。
 
 だがその思いがけない問いかけにとっさに返せる反射神経を持たずに沙慈は口ごもった。
 
「何で、ですか……?」
 
 漸く口に出来たのは疑問に疑問で返すと言うどうしようもない台詞だったが、グラハムはふと目を細めただけで特に気分を害した様子もなくさらりと続けた。
 
「『ペンは剣よりも強い』のではないのか?」
 
 ――其れが正しいのかそれとも正しくないのか、決めるのは己自身だが、私は嘗て其れに敗北を喫した事がある。そして其れは必ず負けるべきだった。
 
 真意が何処にあるのか悟らせぬまま、否、本当に呟きは内側に向けられたものなのかも知れぬ、グラハムは話を切り上げた。けれども剣の強さを生業とする軍人から発せられたその言葉は沙慈には確かに重く響いた。
 
「僕、は……」
 
 其処で途切れた話の穂はいっそ華麗なまでに一人の男によって継がれる。沙慈が口にしなかった――いや、出来なかったのか――心の内を見透かすように。
 
「……そうだな、あの赤いガンダムが君の日常を奪った事に関しては君は何も悪くない。敵討ちをしたいと思うのも自然の流れだ。私とて教授やハワードやダリル達の無念は晴らしてやりたいと思っている。――だが」
 
「本当は相手を憎んではならないのだ。守るべきものの為に戦わねばならない。合法的に赦されているとは言え所詮殺人だ。ならばせめて其れを限界まで昇華させるのが軍人の矜恃である、と」
 
 そう思わないか君は、と、彼はその綺麗な双眸をついと沙慈に向けた。沙慈は震える身体で其れを受け止めた。深く深く、食い込むように。
 
「――貴方はガンダムに勝てるのですか」
 
 渾身の力を込めて言葉を引きずり出す。
 
「……多分」
 
 問われた方は微かに笑った。私がどう思うかは又別の話だが、小さな囁きが耳に触れた。
 
 そのまま彼はするりと身を翻しその場から去っていった。後には沙慈と、置いてかれた言葉だけが残った。
 
(父さん……)
 
 父が、そしてその背を追い姉が、目指した道の先には。一体何が待っていたと言うのか。
 
『ペンは剣よりも強いのではないのか?』
 
 ああ本当に。其れを信じて良いと言うのか。
 
「ルイ、ス……」
 
 彼はまだ知らなかった。
 ルイス・ハレヴィがハレヴィ家のただ一人の生き残りとして何を決意したのか。
 そしてゆっくりと混沌が深まっていくことも、静かに張り巡らされた陰謀のことも、グラハム・エーカーの覚悟も、沙慈の知る刹那・F・セイエイがガンダムマイスターであることも。何もかも。
 
 唯澱のように沈んだ欠片を拾えば浮上する機会を得るかも知れないとの思いつきが頭を離れず。「交差する道」――彼の名の如く。
 
 
 つづく。
 
 
 

2009/05/07 (Thu) 09:03
リボンズ、ラスボス設定なら。42

リボンズが第二期ラスボスなら? ←最早疑問形ではない。ついに終わりましたがホラ、2010年の映画に続く気満々だったから……!最終話付近で勝手に超展開。 まだまだつづいてます。
 
 この話の前提あらすじは0をご覧ください。
 
 
 
 行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
 しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
 
 
 
ほぼオールキャラ。
 
 
 
 前を向く、故、見えなくなるその眸。ああけれど横顔は、そう雄弁に、語るのだ。僕達には未来があるのだと。
 
 
 
 予定に遅れた上結局は夫人を娘の迎えに寄越させたのにも関わらずダニエルズ中佐はグラハム・エーカーにひとつの叱責も浴びせることなく会見を終了させた。マネキン大佐の見え見えの工作によもや引っ掛かった訳ではあるまい。多分にうっすらと窓に映った、白すぎる顔色のせいだ。その気遣いはダニエルズが中佐たりえる理由であり、大佐になれない理由でもある。そして今それはグラハム自身にとってはいっそ苛立たしい事柄であったが、意志の力だけでは如何ともし難い事実なのであった。唇を引き締め改めて謝罪の言葉を述べ、グラハムはダニエルズの前を去った。次は直属の上司に転属を伝えて、整理に一日貰っており、その後は病院へ逆戻りだ。身体が思い通りになりにくいのがもどかしくて仕方ない。知らず溜め息をついたら、すれ違った彼は知らないが彼を知っている人間に大丈夫ですかグラハム大尉、と声をかけられた。互いに正装して馬鹿馬鹿しい階級章を佩用していたお陰で相手が自分より年上ながら自分より階級が下なのが分かった。ああ、ありがとう、と努めて笑顔を浮かべそれに答える。鏡が此処に欲しいと彼は思った。今自分はどんな顔をしているのか

りたい。その希望は無論叶えられず仕舞いだったがとりあえずそれはある一定の効果をもたらしたようで、相手が一礼して会話は終わった。結局早く帰りたいと思っていた。ああ。
 
「君は色々な人にもてるんだねえ」
 
 不意に後ろから投げられた無遠慮な台詞に彼は漸く身体の力を抜いた。勝手知ったる知人の声だったからだ。
 
「叶うならば勝利の女神だけに好かれたいものだな」
 
 唇に皮肉げな微笑を浮かべ応じたところ、おや、GNフラッグの愛は要らないのかい、とカタギリは肩をすくめた。
 
「出来たのか……!」
 
 驚いてグラハムがそう呟く。カタギリはさらりと僕は約束は守る方だよ、上級大尉殿、と口にして、乗るかい、と尋ねた。
 
 グラハムは危うく頷きかけたが、すんでのところで医師の「MSに乗るなどもっての他である」と言う厳命を思い出しふと動きを止めた。
 
 今ここが戦場ならばともかく、私情で体力を浪費するわけにはゆかない。それくらいの理性はあるつもりだ。どうしても乗ってみたいと感性はしつこくしつこく訴えかけてはいるけれども、今この感情に屈すれば後悔するのは目に見えている。否、自分も万全でなければ申し訳が立たないだろう、と自分を納得させてグラハムは有り難いが、と首を横に振った。
 
「……ま、GNフラッグは逃げやしないからね」
 
 カタギリは一瞬目を丸くしたが、グラハムの様子に気付いたのかあっさりと引き下がった。
 
「済まない、恩に着る」
 
「構わないさ、国連までお供するつもりだからね」
 
 既に話はカタギリにも伝わっているようだった。まああと少しはここを離れられないんだけど、と呟くと、君はもう行くのかい、とカタギリが彼に問う。
 
「後報告を一つして引き継ぎを終えれば。――明日一日分は猶予がある」
 
「じゃあ気が変わったらいつでも言ってくれ。試乗出来るように手配しておくから」
 
 分かった、と彼は答えた。気が変わることは無いと知りながら。友の好意をむげに断わる訳にも行かない、ただそれだけで。
 
 そして二人は別れ、彼は転属の辞令を正式に受ける為に一応直属とされる(実際に彼の上にはほぼ人はいなかったが、階級社会を形だけでも維持するための面倒な「一応」だ)上官のところへ向かった。
 
 
 
 こちらもダニエルズとの会見と同様すんなりと話は終わった。今更変更も出来ず、受け入れるしかない辞令だから当たり前と言えば当たり前の事だった。唯、マネキン大佐は美女だから君みたいな見映えのする男が好きなのかね、とまるで見当外れの当て擦りをされただけだ。取り合うのも面倒だったが黙って聞き流すのも癪に障り、彼はにっこりと微笑むとそうですね貴方では無理ですね、と言い放った。何、と相手が怒りを露わにしたのを見てとってから、何くわぬ顔で大佐はMSのパイロットを求めておいでですから、と続けて、部屋を出た。儀杖兵ならともかく、誰が美醜で盟友を選ぶものか。愚かしいにも程がある。自分が膝を折り守ろうとしてきたユニオンと言う形なきものはこんなものだったと言うのか。……いいや、軍人はユニオンの一部であると言うよりはユニオンのみの守り手であると言った方が正しい。故に守るべきユニオンはあれでは無いのだ。けれどもこんなものを置いて国連軍に下るのはユニオンの市民にとって不利益になる以外の何物でもないだろうが、最早賽は投げられて久しく、今更後戻りは出来ない。守るべき対象が拡散されたとしてもユニオン
とて国連が保護すべき対象のひとつだ。
 
(――ならば)
 
 再度エイフマン教授の件を洗い直してから此処を去る位の手土産は必要か。
 
 以前散々情報が無いとはねのけられたことをちらりと思い出し彼は苦い顔で溜め息をついた。しかし多分此れが最後の機会だ。ユニオン軍としての。
 
 望まぬ方向に転がり始めた運命を止める事が出来ないのならば、せめて最後まで見失わない事だ。誇りを支えるものが何であるかを。
 
 
 
 つづく。
 
 
 

2009/04/08 (Wed) 22:11
リボンズ、ラスボス設定なら。41

リボンズが第二期ラスボスなら? ←最早疑問形ではない。ついに終わりましたがホラ、2010年の映画に続く気満々だったから……!最終話付近で勝手に超展開。 まだまだつづいてます。
 
 この話の前提あらすじは0をご覧ください。
 
 
 
 行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
 しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
 
 
 
ほぼオールキャラ。
 
 
 
 前を向く、故、見えなくなるその眸。ああけれど横顔は、そう雄弁に、語るのだ。僕達には未来があるのだと。
 
 
 
 気付いたら君の声が聞こえなくなっていた。
 
 
 
 ――いつか君の罪が購われる日が来たら、その時は彼らに会いに来てくれ。
 
 ――分からない、未来は分からないんだ……。
 
 ロックオンに無理矢理自室に戻らされたアレルヤの耳に響いていたのは、イケダと言うジャーナリストの言葉と自身の台詞だった。目を閉じても声は止まず。目を開いて硝子を見つめても自分以外映らず。
 
 涙は止まる事なく、本当はスメラギに赦しを乞いたかったが其れも叶わず――其れは間違いなく弱さゆえと認識しているから機会を逸した事を何処か喜んでいたのもまた事実だ――誰もいない部屋に誰かを求めた。
 
 未来は分からないと告げた時、半身は黙った後に何か言っていた。
 
「ハレルヤ……?」
 
 恐る恐る問いかけても何処からも返答は無い。
 
 あの時彼は何と言っていたのか。一旦気になりだすと止まらなくなってぐるぐると思考がループしだした。ああ。
 
 あれは自分とは違うと思いたかった。あの時真実道は二つにわかたれた。けれど。
 
 触れることが叶わぬように、侵食しあう関係であるように、どれだけ否定しても彼は内側から現れたように、あれは、自分の一部である事は変えようのない事実なのだった。
 
 だから決めたのだ、自分のしたいことを自分でするのだと。超人機関の子供達を解放したことは後悔していない。いや、未来永劫後悔することはないだろう。何を引き替えにしたとしても。
 
(これで……良かったんだ……)
 
『それで良いんだよ』
 
 その時不意に音が蘇った。そうだ、確かに彼はそう言っていた、それで良いのだ、と。ハレルヤ、ともう一度呼び掛ける。やはり答えは無い。光の加減で己れの姿が反射して見えただけだ。静かで暗い宇宙のこちら側に。
 
 自分で自分に赦しを与える愚かしさに微かな笑いを漏らしながらアレルヤは心の奥にある墓標に祈りを捧げた。これで良いと言うのなら。いつでもいつまでも。効率も真理も予測も知らずに、思い描いたように行くまでだ。
 
 
 
 小さな灯りはその小ささ故に見過ごされがちであるものの、どれだけ小さくとも辺りは必ず明るくなる。
 
 世界は変革を望んでいると誰かが言った。だが世界とは何か。マスコミが言うことが総意なのか。ならば足並みが揃わないJNNは何の役割を担っているのか。マリナ・イスマイールの元に届けられた無数の善意と激しい悪意と、どちらが世界なのか。
 
 いみじくも彼女が――後々まで語り継がれる伝説となるあの――国連での演説で口にした通り、世界を象る人々は元々ひとつではない。声高に何かを訴えることをしないサイレント・マジョリティの真意は誰も分からず、唯彼女が求めたように、ひとつになろうと誰もが一歩ずつ歩み寄ることこそが一番の近道であるのだ。
 
「――貴方の打ち込んだ楔は相応の力を持っていてよ、マリナ」
 
 急にやたらと広いスィートルームに移動させられて、姫とは言え財政的に厳しい国では高が知れている暮らしを送っていたマリナは落ち着かなげに大きすぎるソファに腰掛けたまま、言ったシーリンを見上げた。
 
 ストラスブール議場襲撃事件が残した爪痕は漸く消えようとしていた。其れは犠牲者が最小限であったからであり、其れを成し遂げたのは大マスコミが散々叩いているガンダム、つまり刹那のお陰である事をマリナは知っている。
 
「私の力、かしら」
 
 所在なく口にされた言葉は大いなる肯定でもって迎えられた。間違いなく貴方の力だわ、とシーリンが断言する。
 
「今まで対岸の火事だと思っていた人間が延焼の可能性に気付いただけでも大きな一歩よ。私達はアザディスタンを、世界を平和にしたいのでしょう? 始めたらもう戻れないわ。信じてゆくまでよ」
 
 ――そうね。そう呟いてマリナは漸く聖母のようだと詠われる微笑みを見せた。それを見てほうと溜め息をついたシーリンは僅かに頬を緩めたが、直ぐにくるりとテレビの方に向き直り、顔を険しくした。
 
「……タイミングが良すぎるわ」
 
 画面に映るのはきらびやかな美少女セレブとその婚約者の姿だ。――生前の。
 
 国連軍の軍備増強派の急先鋒であった二人が殺害された事は大きなニュースとなって世界を駆け抜けた。此れだけを見ると彼らは反対派に殺されたようにも思えるが、ほぼ同時期、国連総会も襲撃を受けている。それもマリナの演説が意味をなしはじめてからだ。当日は予定されていた筈の護衛が全く機能しなかったのだと言う。つまり、襲うならばいつでも良かったが敢えて静観の後攻撃を仕掛けてきた。――この二つの事件は繋がっているのか? もし繋がっているのだとしたら、どちらが「始まり」なのか? そして、これで終わるのか? 
 
「……」
 
 シーリンがぶるりと肩を震わせた。それに気付いたマリナが寒いの、と彼女を気遣う。
 
「いいえ、大丈夫よ」
 
 そうシーリンは答えたがその胸中は不安が渦巻いていた。まるで魔法のように刹那・F・セイエイが必ずマリナを救いに現れるとは断言出来ないのだ。
 
 今や希望の星となりつつある彼女をこの段階で喪うことはまかりならない。何が何でも守りとおさねばならない。
 
「――マリナ」
 
 プライベートではシーリンはマリナのことをほぼ姫様とは呼ばない。マリナも普通にそれを受け入れ何、と首を傾げた。さらりと黒髪が流れ落ちた。
 
「私達、友達よね」
 
「何を言っているの、当たり前じゃない」
 
 ――それならば。
 
 誰よりも生きて欲しいと言う私の気持ちは分かるでしょう――?
 
 そうシーリンは心の中で呟いた。
 
 
 
 つづく。
 
 
 

2009/03/30 (Mon) 08:49
セカンドシーズン第25話

※コーラサワー、格差婚おめでとう! 誘惑に負ける心配なさそうだからお幸せに!



リアルにこれくらいしか言えることがないのってどうなの……?

もう少し落ち着いてから考えますが半年休み入れて50話使って脚本ひとりで書いて監督も降板せずにリアルな世界を描きたいとかで沙慈を立て西暦で始めてこれなのか、と言うか欝展開コンビだと言う情報(+インタビュー)からわたしが立てた予測位置を見誤っていたのが敗因でしょうか……。

……ポリアンナを見習った方がいいですね、わたし。

あ、ラストカット付近の作画が乱れ気味でしたが、ずっと作画は綺麗だった! あと演出は良いのが多かったと思う! 伊藤由奈EDは最初廃墟ガンダム微妙と思ってましたが制服が手を繋ぎあってるのが良いと先輩に言われて段々気に入ってきました!

とりあえずこんなところです。

2009/03/25 (Wed) 23:44
リボンズ、ラスボス設定なら。40

リボンズが第二期ラスボスなら? 最終話付近で勝手に超展開。 まだまだつづいてます。
 
 この話の前提あらすじは0をご覧ください。
 ルイスに拍手、ありがとうございます! 本編と違いすぎます……。
 
 
 行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
 しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
 
 
 
ほぼオールキャラ。
 
 
 
 前を向く、故、見えなくなるその眸。ああけれど横顔は、そう雄弁に、語るのだ。僕達には未来があるのだと。
 
 
 
「……こりゃまた修理のしがいがあるってもんだ」
 
 ひゅう、と尻上がりの口笛混じりにイアンが呟く。いっそスクラップ寸前と呼ぶに似つかわしいエクシアは黙ったままだ。代わりに持ち主が済まない、と律儀に詫びた。
 
「ま、腕が鈍らなくて助かるってもんだ。――聞こえてるか、ミス・スメラギ。部品は何とかなりそうだが時間は何ともならん。体裁を整えるまではそうだな、明後日まで、万全にするには一週間は見てくれ」
 
『了解したわ。よろしくね、イアン。後刹那はちょっと来て頂戴』
 
 そこでぶつりと音声が途切れた。台詞の後半はかなり不穏に響き、イアンが肩をすくめる。
 
 ――おお怖。しっかりやれよ、少年。
 
 刹那は顔を僅かにしかめて見せると、くるりと踵を返した。
 
 
 
 レーダーが捉えたエクシアを最初に認識したのは、フェルトの代わりに見張りに立っていたロックオンだった。一人で引き上げてきたアレルヤをいいからお前は休めと部屋に押し込んで、そのまま姫に会いに行っただけの筈だった刹那の加勢に行きたかったが、スメラギは出撃を頑として認めず、フェルトが刹那を信じて、と、疲れが透けて見える、血管が浮き出た手をそっとロックオンの肩にかけた。それで彼は動けなくなった。――ああ分かった、信じるよ。シンプルな答えは非道く簡単にフェルトを微笑ませた。何て簡単なんだろう。何て彼女は何でも無いことにこんなに綺麗に微笑むのだろう。
 
 だが考えてもその眩しさを感じる事しか出来ずに、さしあたって出来る事として彼はフェルトの補助に入った。そして、基地からぎりぎりの位置でGN粒子散布を止めたエクシアが静かにレーダーに捉えられた。
 
『……刹那……!』
 
 JNNの中継で見ていたもののいざ隻腕となりあちこちの外装も剥げかけた機体を目のあたりにすると一瞬背筋が凍る思いだったがロックオンの呼び掛けに刹那が少し驚いたようにロックオン、と呟き返して、それで無事と知れた。
 
『心配、させやがって……』
 
 安堵の溜め息と共にそう呟いたら、済まないと生真面目に返された。ま、無事なら俺は構わない、構うのはおやっさんとミス・スメラギだろうなあ、と言ってみて漸く微かな笑いが聞けた。格納庫に収納されてゆくエクシアの壊れたライトが無言で何かを物語っていた。
 
 ややあってスメラギが急いでコントロールルームに姿を現す。それに少し遅れてフェルトが続き、二人ともまだ休んでたらどうだ、というロックオンの言葉に二人揃ってかぶりを振った。
 
「刹那とエクシアの様子を確認しておきたいの」
 
 ――とはスメラギの弁でありフェルトは黙ったままロックオンの右手にそうっと触れた。彼は素早くそれを離した。フェルトの顔が僅かに曇ったのを見て慌てて左手で頭を撫でる。
 
(分かってしまう)
 
 時々、ほんの時々、制御出来ない震えが右手に来ること。
 
 傷は治った筈だった。細胞は完全に再生した筈だった。死ぬのが怖くないくらい死なせた筈だった。だから。だのに。
 
「……」
 
 何かを言おうと口を開きかけたところでタイミング良くアレルヤが飛び込んで来た。
 
「刹那……!」
 
 スメラギが放送で刹那を呼びつけている後ろから、はらはらしながらモニターを覗き込んだアレルヤは良かった、と小さく呟いた。お前は心配しすぎだよ、と笑いながら言ってみれば、貴方も出撃しそうだったじゃない、とスメラギがさらりとつっこんでくる。そこでやっとフェルトがもう一度微笑み、ロックオンはそれを逃さぬように彼女の髪をくしゃりとかき乱した。そうしてみると、超人機関の解散と国連総会の救援と言った二つの金星がどれだけ輝いているかと言うことと共に、欠けたるピースがあることを痛感させられる。薄氷を踏む思いなのは変わらない。
 
「さ、存分に説教してやってくれ、ミス・スメラギ」
 
「勿論よ、困った子だもの。我が儘の意味を分かってないんだから」
 
 ――とりあえず、未成年以外は乾杯しましょうか。
 
 おかしなところからまた杯と今度は赤ワインを取り出しスメラギが微笑む。飲む理由が欲しいだけではないかとちらりと思ったが、事態を打開するのにも確かに役立つ事は否めず、ロックオンはグラスを二つ受け取りひとつをアレルヤに手渡した。
 
「……そう言えばお前誕生日過ぎたんだってな。ちゃんと言えよ、そういうことは」
 
「……ごめん」
 
 そこでアレルヤがぽつりとそう呟きうつむいた。勝手に始めていたスメラギも少し顔を曇らせる。この場で唯一の未成年は悲しげに虚空を見つめた。
 
「お前が生きる事そのものは罪じゃない。贖罪が必要なのはその行い、だ」
 
 早く飲めよ、と続けてロックオンはスメラギの方にグラスを差し出させた。
 
 苦くないわよ。笑顔を作りスメラギがそう言う。赤い液体が透明を埋める。かちりとグラスを合わせる音がした。手は言うことを聞いたままでもう一回穏やかな空気が流れた。
 
 
 
 刹那が来たのはその少し後で、流石に怪訝そうな顔をしていたが、栓をしたボトルを放り投げて向き直った――ロックオンが慌ててそれをキャッチした――スメラギの赤みがさした頬と裏腹な真摯な瞳にぴくりと肩を跳ねあげさせた。
 
「刹那、私は今ちょっと怒りを覚えているんだけど何故だか分かるかしら」
 
 不意に始まるお説教には何のプレリュードも無く。単独行動の挙げ句エクシアを大破させたと言う自覚のある刹那は一も二もなく頷いた。
 
「嘘、分かってないわ」
 
 くい、と杯をあおりスメラギが睨めつけてくる。嘘も何も、と反論しかけたところで、エクシアの事でも作戦の事でも無いのよ、と先手を打たれて少年は黙り込んだ。ロックオンが小さく十字を切り、アレルヤが気の毒そうに肩をすくめたのがスメラギの肩越しに見えた。割れるのではないかと思うくらい激しい音を立てて、あっと言う間に空になったグラスが置かれて、スメラギの両手が自由になった。手のひらがゆるりと伸ばされ、不意に刹那の両頬を挟む。そのまま一度離れてからぺちりと叩いてまた戻った。
 
「――一人きりで死んでもいいなんて思っちゃ駄目」
 
 刹那がまじまじとスメラギの顔を見てみれば、彼女は怒りながら僅かに泣いているのだった。
 
「困った時は助けてって言いなさい。私達は何のために戦っているの? 未来のためでしょう。誰かを助けることが関係ないなんて事はきっと無いわ」
 
「……」
 
 何も返す言葉がなく刹那は沈黙した。
 
「でも、良く頑張ったわね」
 
 黙ったままの刹那をスメラギがかき抱く。その骨ばった肩をロックオンとアレルヤが叩いた。
 
「……うん」
 
「あんまり心配かけさせるなよ」
 
 口々に呟かれる台詞は何れも優しく。スメラギの身体は温かく。
 
「ありがとう」
 
 自分の言葉も驚く位柔らかに響いた。
 
「あーあ、思い出しちゃったわ」
 
 つい、と身体を離して目元を拭いながらスメラギが呟く。
 
「……アレか」
 
 笑いながらロックオンが口にする。そうアレ、と応じて怪訝そうなアレルヤと刹那にスメラギは向き直った。
 
「最初にティエリアに会った時ね、女の子のマイスターが来た、と思って、歓迎の意を示して抱きついたの」
 
「で、『これが作戦に関係ないならば今すぐ離して頂きたい』ってそれはもう冷淡に低音で返されて、な」
 
 後をロックオンが引き取りそう締め括る。
 
「とりあえず女の子と間違えたことはバレてなかったからまだ良かったけど……ってこれ秘密よ? フェルトも言っちゃ駄目だからね!」
 
 笑みを溢しながらフェルトがこくりと頷く。そう言えば、スメラギさんと最初に会った時、わたしもぎゅってされました。――クリスも。
 
 ああ何て。
 
(ああ、何て)
 
 続ける言葉を捕まえられずに刹那は其処で思いを途切れさせた。
 
「さ、分かったら無罪放免よ。とっとと治療に行ってらっしゃい」
 
 それを知ってか知らずかスメラギが割り込むように台詞を滑り込ませた。
 
「……付き合うぜ、刹那」
 
 ロックオンが直ぐに身体を翻してドアの方へ向かう。
 
「……ああ」
 
 彼女が諦めないと言っていたのは此れの事か。何もかも諦めない、此れの事か――。
 
 
 
 つづく。
 
 
 

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