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Author:水無瀬早生
まったりガンダム00を見守るツッコミ感想+健全二次創作ブログです。ティエリア、アレルヤ、ソーマ、グラハムあたりを贔屓。

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2008/11/16 (Sun) 20:07
リボンズ、ラスボス設定なら。30

リボンズが第二期ラスボスなら? 最終話付近で勝手に超展開。 
 この話の前提あらすじは0をご覧ください。
 地味にだらだら30回目……! 拍手、ありがとうございました! アロウズとかいなくてすみません。カタロンもいないよ……(ヤケ)!
 
 行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
 しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
 
 
 
ほぼオールキャラ。
 
 
 
 世界は君のためだけにとあるのではないけど、君を泣かす全てのものから今遠ざけたいと思うよ、何て我が儘に。
 
 
 
 スメラギ・李・ノリエガに作戦了承を申し出、刹那と別れた時まではまだそれは「決めたつもり」のことだった。
 
 実際に口に出していないことは何もしていないと同義だとすれば、これは半身にすら告げていない正に夢想だった。無理矢理に奥へ追いやったもう一人は今は愉しそうに内側から自分を見ていて、多分この先の自分がどうしたいかは悟られていない。いっそ非難してくれればより決意が強固になるかも知れないのに、と他力本願に陥りつつ、GN粒子の散布を止めてあからさまにレーダーに映りこんだ。
 
 まだ本格的な反撃体勢は見られない。時間との戦いだ。
 
 何処に在ると地図すら見なくとも、超人機関の場所は悲しいくらい直ぐに分かった。――声が、聞こえたからだ。あのティエレンが接近してきた時の自分と同じ、頭痛にのた打ち回る無数の子供達の声が。
 
『どんな小奇麗な言葉を並べ立てても、お前の優しさは偽善だ。優しい振りして自分が満足したいだけなんだよ』
 
 かくいう自身が偽善に満ち満ちた甘い声音でそう言う。――ハレルヤ。神を称えよ。
 
「――違う!」
 
 そしてそれを否定する自分の声は泣きたい程に頼りなく、小刻みな揺らぎひとつ隠せないのだった。引き金にかけた手が震えているのが自分でも分かった。違う、と言いながら、その実違わないのだろうと言うことも。
 一機、また一機、とティエレンが展開し出す。それを斬り落としたのは刹那だ。正しいか正しくないか迷っていた刹那だ。
 
『お前がちんたらしてるからチビッコがお前の代わりに人殺ししてるんだろうが。……敵に情けはかけるな! さっさとガキ共をぶち殺せよ! そいつらはどうせまともな人生なんか送れるわけがねえんだよ! いつかオレ達を殺しに来るんだよ!』
 
 ――ああ。
 
 複数形の物言いが、自分達はひとつでありふたつであることを如実に示していた。何を今更。何を今更。
 
 刹那が討ち漏らした一機がこちらへと向かってきた。機動性に物を言わせて、迷いながらでも自分は彼らに勝てる。ティエレンタオツーや、セルゲイ・スミルノフがいないからだ。
 
 にやりとハレルヤが笑った。後は全員始末すればおしまいだな。その台詞に覚えず固まったら、簡単に看破された。
 
『何だ……それとも何か、またオレに頼るのか? 自分がやりたくないことに蓋をして、自分は悪くなかったとでも言うのか? お前はここに何をしにきたんだ?』
 
 ――駄目だ。駄目だ。駄目だ。
 
「僕は、ガンダムマイスターとして……」
 
『立場で引き金を引くのかよ?』
 
 先は言わせてすら貰えずに途切れた。無数に響く苦痛の声がどんどん増していった。近い。その場所は近い。
 
「違う……!」
 
(ああ僕達は)
 
 こんなにもひとつだと言うのに。
 
『引き金くらい感情で引け!』
 
「違う……!」
 
『己のエゴで引け……!』
 
「違うんだ……!」

 血塗れの自分を内側から見つめる自分。それを恐怖に塗れた眸で見上げる嘗ての同胞は、いつの間にか自分になっていた。鏡だ。逃げるのも追うのも、どちらも自分だ。千切れそうだ。消えそうだ。肝心なときには何時も止めてくれと力及ばず懇願するばかりで、何も出来やしない。今でも心はあの場所へ置き去りにしてきてしまった気がする。
 
 だけど。
 
 そのままでいいはずがない。
 
 何のためにここに来たのか、充分過ぎるくらい分かっている。
 
「……僕は自分で決めたことを自分でやる」
 
『それでいいんだよぉ』
 
 溜め息と共にそう言えば、漸く眼前のガラスに映った姿が薄れた。代わりに、不自然に静かな建物がしっかりと視認出来るようになった。
 
 アレルヤはそして引き金から……手を離し、ヘルメットをしっかりと被った。
 
『おい、何を……!』
 
 慌てて「前」に出てこようとするハレルヤを何とか押し留めて、小型銃をホルスターから引き抜き、空いた左手でスイッチを乱暴に押す。アラート音と共に、ハッチが開いた。
 
『あのバカと同じことをやらかすつもりかよ……!』
 
 其処から身軽に飛び降りると、アレルヤは入り口へ走った。走れば声は置き去りになると信じて。振り切るために。
 
「僕は、僕のエゴで、引き金を引かないことに決めた」
 
 素早く言ってみれば、「相棒」は沈黙を返した。拍子抜けするくらいあっけなかった。
 
「彼らを助けると決めたんだ……!」
 
 ――神様。貴方は讃えるべき存在であり僕はその欠片ひとつにすらなりきれない。故に誰もを救えるだなんてもう思わない。だけど目に映る全てを、限りなく全てに近づくまで、救おうとする努力は永遠にやめないでいようと思う。分からぬ未来を勝手に捨てる事だって、同じくらいおこがましいんだ。だから。
 
「――彼らの末路は戦場なのかも知れない。こうして生きのびた僕の人生だって確かにまともだとは言い難い。いつか僕達を殺しに来るかも知れない。……でも、選ぶ権利くらい行使しても良い筈だ……! 偽善と呼ばれることを恐れていたら、僕は何もできなくなる。偽善だっていいじゃないか。いつか何処かでたった一度きりでも良い、彼らに生きてて良かったと思える 瞬間が訪れるかもしれない。僕がみんなに出会ったように、心配してくれる誰かと心配したい誰かに出会えるかも知れないじゃないか。分からない、未来はいつも分からないんだ、ハレルヤ……!」
 
 セットした爆弾が扉を吹き飛ばす前に、ドアから離れろと叫んだ。腕をかすめた銃弾は意識をよりクリアにするのに役立っただけだった。
 
 白い、覚えのある服を纏った子供達。機械に繋がれたまま動けない子供。死人のような硝子の眸。そのあらゆるものに既視感を覚えつつアレルヤは大きく息を吸い込んだ。そのままヘルメットを外す。
 
「――未来が欲しければ、僕と一緒に逃げろ……!」
 
 限界まで見開かれた双眸に仄かに宿った色を、彼は一生忘れないだろうと思った。うつくしさはこんな断崖にすら大きな羽根を広げ舞い降りる。
 
 やがて魔法が解けたかのように、緩やかに子供達が動き始めた。歩けない少年を二人背負い、空いた片手で一人の少女の手を引いた。右手はずっと引き金にかけられたままだ。ヘルメットはとうの昔に放り投げていた。
 
 走りながら、アレルヤが反応出来なかった兵には小さな子供が俊敏にライフルを取り上げる。威嚇だけだ、と厳命して彼は走り続けた。もう少し。キュリオスが待つ場所までもう少しだ。
 
 と、瞬間、曲がり角から誰かが飛び出してきた。殺気が無いのを感知してから銃を下げさせる。
 
 静かだった。
 
「――ねえ、大丈夫?」
 
 少年がアレルヤの服の裾を引っ張る。出てきたのは一人の男だった。マイクを持ったその人物は黙ったまま遅れて現れた男に右手を下げて合図した。それで彼は担いでいたカメラのレンズを下げた。
 
 マイクを持った一人がゆっくりとアレルヤに歩み寄る。念のため子供達を背中にかばいながらアレルヤは彼を見つめた。
 
「私はJNNの池田だ。今この映像はJNNの報道網を通じ全世界に流れている。国境なき医師団に連絡は取ってある。子供達は我々が引き受けよう。……君の行いに心より敬意を表す。――だが」
 
「我々はいかなる理由があろうとも戦争行為を手段として許容する訳にはいかない。何故なら、我々はジャーナリストだからだ。……いつか君の罪が購われる日が来たら、その時は彼らに会いに来てくれ」
 
 透き通る涙が滑り落ちる。アレルヤは沈黙を守ったまま頷いた。
 
「さ、あっちに行くんだ。君達は自由だよ」
 
 屈んで背中の子達をおろし、一人一人を抱き締めるようにして囁く。
 
「好きな未来が選べるから、必ず、必ず、幸せになってくれ……!」
 
 アレルヤが走り去った後、池田はマイクを構えカメラの方を向いた。
 
「皆さん、ご覧になりましたでしょうか。超人機関は現実に存在していました。獣にもとる残虐非道な行いを繰り返してきたとされるこの組織は、ですがたった今その姿を白日の元に晒し、囚われていた子供達は解放されたのです。他でもないソレスタルビーイングの手によって。私達は、世界を、今こそ正しく認識する必要があります。今のこの混迷は何も彼らが現れたからではない。そもそも内包されていた歪みなのです。それに立ち向かうために、私達には変革が迫られています――」
 
 
 
 つづく。

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