リボンズが第二期ラスボスなら? 最終話付近で勝手に超展開。
この話の前提あらすじは0をご覧ください。
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今わたしの中でもうすぐ2が出るDS西村京太郎サスペンスが盛り上がり中です。ファンサイトないかな……と思って探しましたがありませんでした……(涙)。探し方が悪いのか盛り上がり方向がオカシイのか……。
行き先は不明ですが主人公(せっさんではなくせっちゃん含め四人とも若いまま続投中)は報われるのが好きです。綺麗事も好きです。
しかし閉じとけって感じですよねすみません……。
ほぼオールキャラ。
揺らいだ思いの背中には、翼など見えない、振り返れば、ああ、待ちわびている、苦しみの和らぐ、幻でも儚い記憶でも。
微かな陽だまりに影を投げ掛けて見えなくする。そろりと進んできた二体のガンダムはやおらその姿をモラリア上空へと現した。響く轟音が風を震わせては砂塵を巻き上げさせた。
「――刹那」
くぐもった声は緊張のためかいつも以上に揺らいでいた。
正しくは聞いていないが人革連の何処かがアレルヤの故郷であるらしきことは刹那も薄々察していた。自分の故郷であるクルジスは最早文字通り存在しないが、年端も行かない子供を集め人体実験を繰り返す組織が故郷の一部であることは、いっそ帰る場所が無いのと同じくらい残虐だろう。
「……何だ」
故に刹那は殊更そっけない口調でそう答えた。感情の色を乗せない事務的な言い方だ。たぶん、言いたいことは分かる、気がする。
「此処は僕に任せてくれないかな……ごめん、こんなこと言える立場じゃないんだけど」
おずおずとした、だが確固たる意志を内包した物言いは予想を違えるものではなく。この先どんな結論を彼が出そうとも、助けたいからと言う「下らない」理由でデュナメスの力をむざむざと敵に晒すきっかけを作った彼の姿を刹那は信じようと思った。
「――何故」
「それは……」
「何故、謝るんだ。……俺は此処で見張り役をすることに異議は無い」
刹那、と再び呟かれた名前には少しばかりの安堵が含まれていた。
(――そうだ)
何故此処にいるのかと問われて、何故信じるのかと聞かれたならば、決めたからだと。最後の瞬間まで何ひとつ諦めてはいけないのだと。
「……ありがとう」
几帳面な仲間はそう感謝の言葉を述べた。それさえ無くとも構わないくらいの思い。
その数時間ほど前。
「……フェルト、準備はいい?」
ソレスタルビーイングの母鑑では、二人の女性が真剣な顔付きでモニタと対峙していた。ひとりはスメラギ、もうひとりはフェルトである。キーボードの音が途絶えたところでスメラギはそう尋ねた。はい、とフェルトが頷く。
「じゃあ始めて頂戴」
「待たなくていいんですか」
少し不安そうに呟いたフェルトの肩にそっと手をかけてスメラギは首を横に振った。
「構わないわ」
……信じるって決めたから。
微かに笑って付け足してみれば、フェルトもにこりとしたようだった。
「……はい」
己れを正当化するようなプロパガンダなんて好きじゃない。けれど今自分達が何を為そうとしているのか誰かに伝えなければ、この事は誰にも知られぬまま闇から闇へと葬られるだろう。――終わりにしなければならない悪夢なんです。もう僕たちだけでいい。これから先にはもうこんなこと赦してはいけないんです。そう言ったアレルヤのうつくしい横顔を思い起こす。告げてはいないけれど、限りなく不安になるけれど、自分が選ぶものと同じものをきっと選んでくれる筈だと、信じると決めたから。
(私も大概夢見がちなのかしら……、ね)
厳しい指揮官の表情を崩さずにスメラギは胸の内でそうひとりごちた。
「……完了しました」
淡々としたフェルトの台詞で不意に現実に引き戻される。
だかこれは夢ではなく、賽は確かに投げられたのだ。
同日同刻JNN本社。
一人の若い男の前にあるパソコンで、立ち上げっぱなしのメールソフトが一通のメールを受信したことを知らせた。彼はそれを何気無く見た途端顔色を変えると思わず腰を浮かせかけた。視線の先にいた部長が同じように血相を変えたのを見て取って、慌てて座りなおした。デスクに放り出されていたライターを掴んで部長が席を立った少し後に彼も立ち上がり廊下へと急ぐ。
「あー、そのエレベーター待って下さい!」
だが叫ばなくてもその箱の扉は開ボタンで開かれていたままだった。部長が開いていたのだ。
そのままするりとエレベーターは屋上庭園へ到達する。なるべく音を立てないようにして彼等は植え込みの陰に急いだ。
「……お前のところにも来たのか」
「部長にも、ですよね」
確かめ合い予想通りであることを改めて確定させ、彼等はどちらともなく溜め息をついた。
「――まだ、信じられなくてな……引き継ぎが終わってないからとアカウント削除申請を差し止めていたんだが」
まさかこんなことになろうとはな、呟いてくわえた煙草に火をつける。吐き出された煙に顔を僅かにしかめながらもう一人は知らぬ間にむしりとった一枚の葉をもてあそんだ。
「――はい」
彼等の部下であり先輩であった絹江・クロスロードが不慮の死を遂げたのは最近の事だった。表向きには犯人は分からなかったがどう見ても知りすぎた故のジャーナリストの殉職だった。遺されたただ一人の身寄りである沙慈・クロスロードを慮り葬儀の手配から何から代わりに引き受けた身としては、彼女の死は確かに本当であったと言わざるを得ない。故に彼女のアカウントで彼等に送られてきたメールは勿論彼女が送ったものではなく、何者かが踏み台にとランダムに選んだ中で、たまたま選ばれただけに過ぎない。だが頭ではそう分かっていても。棺におさめられ小さな灰と骨の欠片になったと分かっていても。
「これは絹江の仕業なのかも知れんな……」
そう呟かずにはいられなかったのだ。片付いた机に誰も座らないように、アカウントを未だ生かしているように。
――噂話でしか聞かない人革連の秘密組織、超人機関。件のメールは其れを実在のかつ残虐非道な存在として白日の元に引きずり出すリーク情報だった。そして、大胆に入れられた電子透かしは。天上人が持つと言う羽根を広げた、十字架。……つまり。
「まさか信じるんですか? こいつらが絹江さんを殺したんですよ?!」
「――証拠は無い」
「でも、危ないですよ! 危険すぎる……!」
そう抗弁した彼を部長は黙って見た。それに気おされ彼が口を閉ざす。しばらくして部長がやおら口を開いた。
「……もし、絹江がいたら何て言ったろうな」
部長、と非難めいて彼は叫んだが、部長は全く同じ台詞を繰り返した。そして、
「『やりましょう、部長』……違うか?」
と言って、瞬きを止める。
「……」
不自然なくらい真っ青な空は、今も世界のどこかで争いが起きているなど俄かに信じがたいくらいだった。一時期ソレスタルビーイングに便乗して頻発していた爆破テロが残した爪痕は、まるで最初から何もなかったかのように見事に修復されていた。だが。確かに誰かが傷つき、今も癒えぬ傷を抱えているのだ。今自分達の中にある絹江・クロスロードの面影の如く、消せない何かを。
「俺達が絹江にしてやれることはもうこんなことしか無い。……止めれば良かった。止めたって聞かないのは分かっていたんだから、何か策を講じるべきだった。――だがな、今となってはもう、これしか無いんだ。俺達は何だ? 何のためにJNNにいるんだ? 絹江は何を為そうとしていたんだ?」
「部長……」
「お前が降りるなら其れも仕方あるまい。だが」
「――ひとつ訂正があります」
部長が最後まで言い終わらない内に彼が口を開いた。そして、淡々と付け足す、絹江さんなら、台詞の後に机を叩きます、と。絹江さんなら。きっと。
「――池田さんが国連の取材でストラスブール入りしてます。そっちは残りのクルーに任せて今すぐ向かって貰うよう連絡を取ります」
「よし、連絡はこの電話を使え。……今朝、間違って息子のを持って来てしまってな。虫の知らせ、と言うやつかも知れんな……。ともかく、用心するに越したことはない。俺は生中継でねじこめるよう調整してくるから、お前はそれが終わったら準備を進めておいてくれ。裏を取る時間は無いし危険だ。頭からこの情報を信じやるしかない」
はい、と力強く彼が頷く。
「……あ、部長」
と、部長がくるりと踵を返したところで彼は部長を呼び止めた。何だ、と、部長は消した煙草を携帯灰皿に押し込みながら振り返った。
「このこと、沙慈くんには……」
「黙っておけ。必ず分かるようにするからどちらにせよ問題ない」
「分かりました」
そして今度こそ二人は別れ、それぞれの戦いの場へと赴いたのだった。
――国を救うのに剣は要らない。
例えそれが国ではなくもっと大きい何かだったとしても、きっと。
(そうだろう、絹江)
(そうでしょう絹江さん)
胸の内に呟くが、その相手から真に答えが返ることは最早無く、ただただ痛いばかりの沈黙が辺りを支配する。
だがそれでも。彼等の中の絹江・クロスロードはジャーナリストの厳しい唇を僅かにほころばせてええ、と頷くのだ。何の為に真実を追い求めるのかと問われたならば。平和な世界の為に、と。
つづく。
名前のない二人で盛り上がっててすみません……。
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